SSブログ

震災以降(2) [雑記]

前回のエントリで、世界が変わって見えてきたと書いたがそれについて少し考えてみた。
よく大病をした人や九死に一生を得た人などが、がらっと人生観が変わるというが、そういう人たちは人生の実存に触れたのではないか。いつもはオブラートに包まれている人生の、隠された実相のザラッとした手触り。今回の震災および現在進行形の原発事故をとおして、たしかにこの手触りを感じたような気がした。そしてその感覚はまだ生々しく残っている。
内田樹によれば村上春樹作品のテーマのひとつは、理不尽で意味のない暴力にさらされる個人の生き方だが、今回の震災でも、圧倒的な力でもって蹂躙される個人の運命の儚さに慄然とした。家を建てて、子供を育てて、夏休みぐらいは旅行に行こう、なんとなく自分も平均寿命ぐらいまでは生きるんじゃないかと思いながら、小さな夢をおって過ごす毎日。そういう日々から、突然、震災とりわけここ福島では日々の放射能の恐怖にさらされる毎日に変わってしまった。
「100ミリシーベルトまでは安全です」とオウムのように繰り返す某アドバイザー学者から、「もうすぐ○号機が爆発する。すぐ逃げろ」と煽る安全地帯にいる人まで、さまざまな情報ともいえない不確かな言葉の海の中から、自分の信じられる「言葉」を探し出して、とりあえず自分の家族を守ろうと必死になる毎日。今、福島の多くの子供のいる家庭ではこういう毎日を否応もなく過ごしている(全く気にしていないように見える人々もいるが、おそらくそうした情報を意図的に遮断しているのではないか)。
野尻さんという著名な物理学者のブログのタイトルはこうだ。
「油断するなここは戦場だ」。今まさにその気分!

※この項もうすこし続きます。いまの気持ちを書き残すために。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。